実際の障害年金申請事例ー心臓



本来、障害認定日請求(遡及請求の場合)を行う場合には障害認定日時点と現在の症状の診断書2枚が必要となります。しかし、以下の「障害認定日の特例」に該当したことによる障害認定日請求(遡及請求の場合)は、現在の症状の診断書で障害認定日の特例に該当した日が確認できる事などを理由に、1枚の診断書で遡及請求が可能になる取り扱いがあります。ここでは、その取り扱いを実際に利用した事例のお話をいたします。
                
まず、障害認定日の特例を一部例示いたしますと・・・・



  • 人工透析療法を行っている場合は、透析を受け始めてから3か月を経過した日(を障害認定日とする。以下同様)
  • 人工骨頭または人工関節を挿入置換した場合は、その日。
  • 心臓ペースメーカー、植込型除細動器(ICD)または人工弁を装着した場合は、装着した日。
  • 人工肛門または新膀胱の造設、尿路変更術を施術した場合は6か月経過した日。
  • 切断または離断による肢体の障害は、原則として切断または離断した日。
まだ他にもございますが、これらが上記取り扱いを受ける事のできる障害認定日の特例になります。


ご依頼いただいた依頼者様は「傷病①」と上記特例に当てはまる「傷病②」を持っておられました。両方障害等級該当の可能性が高いのですが、同一部位の傷病であり、相当因果関係(先発の傷病があったから、後発の傷病が発生したという関係。この関係があると同一傷病の扱いとなってしまいます)がありだとみなされる可能性が否めません。2つの傷病は以下のようになっております(傷病の具体的内容については依頼者様に配慮し伏せさせていただきます)。

傷病①→初診日20年以上前、障害認定日(初診日から1年6か月時点)には等級に該当していない可能性大。後に該当濃厚。

傷病②→初診日約5年前、障害認定日の特例に該当。等級該当濃厚。
    


今回の事例の障害年金申請ポイント

ポイントは相当因果関係が成り立つのかどうかですが、主治医の先生は全く別傷病と仰っておられます。しかしながらこれに関しては年金機構の認定医の判断に委ねるしかありません。私どもは因果関係があってもなくてもご依頼者様に利益がある様に請求方法を考えなければなりません。

相当因果関係が「あり」で同一傷病とみなされる前提だと、濃厚なのは傷病①の事後重傷請求ということになります。

相当因果関係を考えなければ上記事後重傷と、前後の傷病ではじめて2級の請求、傷病②の認定日請求(遡及請求)が考えられます。はじめて2級となりますと、年金額が随分高くなりますが相当因果関係「あり」とみなされれば水の泡です。診断書(だいたい1枚5000円~10000円くらいです。)を2枚必要としますのでその出費も無駄になってしまいます。

それを踏まえてまずはじめて2級に該当する可能性があるかどうかを探ってみましたが、かなり薄そうです。年金事務所の職員さんにお願いして本部照会をかけていただき、この2つの傷病でははじめて2級該当はあり得ないとの回答を得られましたので、はじめて2級は選択肢から外しました。

そうなると傷病①の事後重傷請求と傷病②の認定日請求(遡及請求)を行う事になる訳ですが、この場合診断書は合計3枚(認定日2枚、事後重傷1枚)必要になります。気になるのは、やはり相当因果関係の有無です。「あり」の場合は傷病②の認定日請求は認められず診断書2枚は意味が無くなってしまいます。


ここで思い当たるのが冒頭でご説明いたしました「障害認定日の特例に該当したことによる遡及請求の取り扱いです。主な要件は、、、、

●現在の症状の診断書で障害認定日の特例に該当した日が確認できる事。

●障害認定日の特例に該当した事のみをもって障害認定を受けることを承諾する事(例えば、ペースメーカー装着の場合、総合判断で2級以上該当の可能性もありますが、障害認定日の等級は3級で確定するということです。)



今回の事例の障害年金申請内容

仮に依頼者様が認定日において2級に該当する見込みが少しでもある場合は、慎重に考えなければいけません。

幸いこの事例の依頼者様はどの時点においても2級該当の可能性はありませんでした。念には念を入れ複数の職員さんと相談し、やはり皆さん同一の見解でしたので、そもそも相当因果関係によって認められない可能性の高い認定日請求は、上記取り扱いを駆使して診断書1枚で行う事に決めました。

また、職員さんとのお話の中で、両方の傷病で必要な診断書が同一部位、かつ現在の症状ですので、これも1枚に統一しようとの話になり、最終的に傷病①の事後重傷請求と傷病②の認定日請求(本来診断書3枚)を1枚の診断書で行う事に決定いたしました。これならば、そもそも相当因果関係により徒労に終わる可能性をはらむ認定日請求を行うにしても、診断書作成の出費を抑えられ、依頼者様に利益があります。


ただしこの場合、2つの傷病について1枚の診断書に記入しなければなりませんので、診断書の書き方が非常に特殊になります。これに関しては間違いが許されませんので何度も職員さんに本部照会していただいて記入法を確認させていただきましたし、中々遭遇しない診断書ですので職員さん達もかなり慎重に対応して下さいました。

作成して下さった主治医様も非常に書きにくい診断書を見やすく書いて
下さいました。とても骨が折れたのではないかなと思っており、非常にありがたいことでした。完成した診断書は、一見事後重傷請求の診断書にしか見えない診断書で、2つの傷病について記載してあるのが特徴的です。職員さん達や、年金事務所の相談窓口も務めておられる大先輩の社労士先生も滅多に見ないレアな診断書だと仰いました。

診断書は1枚ですが傷病は2つですので、病歴・就労状況等申立書もそれぞれ2種類作成いたします(20数年分と5年分です。かなりの量になります)。裁定請求書は1枚で、2つの傷病と請求方法について記載する事になります。
結果請求は無事受理され、審査の結果を待つ運びとなりました。


申請の結果は障害厚生年金3級支給決定(遡及5年:3年有期認定)。相当因果関係の審査に通常よりかなり長い時間を要しましたが、予想通り因果関係「あり」の判定が下りました(つまり、傷病②の認定日請求は消滅します)。それを受けまして傷病①の認定日請求への切り替え作業を行い(追加の診断書は必要ありません。結果的に2つの傷病の4つの請求を診断書1枚で行う事になりました)、分の悪い(理由があります。認定基準を厳密に運用し、実態から目を逸らされると等級不該当濃厚です)認定日において3級該当が認められました。残念なのは傷病を患ったのは遠い昔であり、約20年分が時効により消滅してしまっている事です。障害年金という制度がもっと世間に認知されていればと考えずにはいられません。依頼者様の長きに渡る傷病によるご苦労を5年分の遡りで埋めることは絶対に出来ないと思うのですが、たとえ少々なりとも人生における明るい材料になれば心から嬉しく思います。


この事例は少々特殊で請求方法の考案や書類作成に悩ましい部分が非常に多くありました。できれば依頼者様のご負担を少なくしたいという思いがあるので尚更です。しかしながら、「依頼者様の金銭負担を可能な限り減らしつつ、可能な請求を全て行う」事ができ、最上とは言えないまでも依頼者様にとって非常に良い結果が出ましたので満足しております。依頼者様はじめ、いろいな形で申請に関わって下さった年金事務所職員さん達や先輩の先生達に深く感謝いたします。











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