実際の遺族年金申請事例(内縁関係)



実際の遺族年金申請事例(内縁関係)

遺族年金とは

本事例は遺族年金の請求代行業務です。国民年金加入の方がお亡くなりになられた場合は「遺族基礎年金」と言う制度が、厚生年金(共済年金)加入の方がお亡くなりになられた場合には「遺族厚生(共済)年金」と言う制度があり、それぞれ受給の要件や受給できる遺族が異なってまいります。

実は遺族年金は別居状態の配偶者や内縁関係でも受給できるチャンスがあるのですが、その為には「内縁関係である事」や「生計同一の要件」を満たしていた事を証明しなければなりません。この証明が出来なければ遺族年金を受給する事は出来ないのです。そういう意味で上記の請求は一般の遺族年金請求とは一線を画すと言えるでしょう。



本事例の詳細(遺族年金)

本事例の依頼者様は内縁の奥様でした。内縁関係を始めて約半年でご主人が急逝するというご不幸に見舞われてしまったのです(本当に突然の出来事でした)。数年のお付き合いの後一緒に住む為の新しいお部屋を借り、依頼者様の前夫との間のお子様二人とともに一家四人で幸せな生活を送り始めた矢先の出来事でした。

お会いしてお話をお伺いしたのですが、お亡くなりになられた内縁のご主人への愛情と取り残された寂しさが痛々しいほど伝わり、何とかお力になれないものかと強く思いました。しかし内縁の奥様であり、内縁関係を始めてまだ日が浅いという事も相まって、内縁関係や生計同一の証明の如何が受給の可否を左右する事になりますので難易度は高めと言えるでしょう。

お亡くなりになられたご主人は厚生年金に加入中でございました。この場合、それぞれ要件を満たしていれば「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」が2階建てで支給される可能性があります。その部分を本事例について考えてみます。



遺族基礎年金の対象者は・・・

●死亡した者によって生計を維持されていた「子のある配偶者」又は「子」

※この場合の「子」とは18歳到達年度の3月31日(18歳年度末といいます)
 を経過していない子、又は20歳未満で障害年金の障害等級2級以上の子の事を言います。

ご依頼者様には18歳未満のお子様がいらっしゃいますが、前夫との間のお子様です。要件に言う「子」とはお亡くなりになられた配偶者との間のお子様の事を言いますので残念ながら遺族基礎年金の要件は満たしていない事になります。



遺族厚生年金の対象者は・・・

●死亡した者によって生計を維持されていた「妻(事実婚を含む)」
●子、孫(上記遺族基礎年金と同じ年齢要件です)
●55歳以上の夫、父母、祖父母(支給開始は60歳から)

依頼者様はこの要件を満たしております。ですから本事例の依頼者様は「遺族厚生年金」の受給の可能性がある訳です。



保険料納付要件

遺族年金にも保険料納付要件がございます。具体的には・・・

●お亡くなりになられた方の保険料の未納期間が全期間の3分の1未満である事
 
若しくは・・・

●死亡日の属する月の前々月までの1年間に保険料の未納が無い事(一般的に「前1年要件」と呼ばれ、これが最も満たしやすい要件です)

上記のどちらかを満たしていなければ他の要件を満たしていたとしても遺族年金は請求できません。

ご依頼者様の内縁のご主人は、若い頃自営業を営まれておられて国民年金の対象でした。お給料から控除される厚生年金ならいざしらず、国民年金、特に若き日であれば生活にゆとりが無い場合も多く、納付の意識が希薄な場合も多いでしょう。奥様曰く、その後は季節労働も多かったと言う事で厚生年金期間以外は未納になっている可能性が高いとの事でした。と、なると現実的には前述の前1年要件を満たしているかどうかが鍵となりそうです。しかしながら、実はお亡くなりになられる1年程前にそれまでお勤めでいらっしゃった会社を精神的な疲れから退職されており、2ヶ月程の空白期間の後再就職されたとの事だったのです。その場合、国民年金を納付しているか免除申請を行っていない限り前1年要件も満たすことが出来無い可能性が高くなります。

ご依頼者様は常日頃、将来の為の年金の大事さをご主人に説いていたそうですが、心優しい反面豪快な面のあるご主人は、小さな事とあまり気にしていなかったそうです。しかし、不幸にも予想もしない事態となり、残された奥様の命運が生前のご主人の行動に託される事となってしまったのです。

それらを踏まえて年金事務所にてご主人の年金記録を照会いたしました所、奥様が仰った通り厚生年金加入時以外はほぼ全て未納の状態でした。しかし、1箇所だけ・・・お亡くなりになられる1年程前に2ヶ月程失業していた部分・・・この部分だけが免除されていたのです。この部分が未納であれば「死亡した月の前々月までの1年間未納が無い事」の要件を満たすことが出来ませんでした。しかし、きちんと免除申請されていたのです。奥様はご存知ありませんでしたから、ご主人が自ら「退職時の特例免除申請」を行っていた事になります。

それまで全く年金に関心が無かったご主人が、不思議な事にその部分だけきちんと免除申請を行っていたのです。その部分の未納は遺族年金を受給する上で致命的だった事を考えると奇跡的とも言えます。虫の知らせとでも言うのでしょうか?とにかくご主人の生前の行動により、奥様の遺族年金の保険料納付要件は奇跡的に満たされていました。

この事実を知った時、奥様は堪え切れず涙を流していらっしゃいました。私もこれには目頭が熱くなりました。奥様は今もご主人に守られていると強く感じたそうです。私にもそう思えてなりませんでした。



今回の遺族年金請求のポイント

今回の遺族年金請求のポイントは以下の部分です。

1. 内縁の妻(事実婚)である

前述の通り内縁関係になり6ヶ月程です。一般のご夫婦同様の生活を営んでいた事を証明しなければ遺族年金は受給できません。

2. 同居していたが、住民票上は「別世帯」

たとえ内縁関係だとしても、住民票が同一世帯であって、特に続柄が「妻(未届)」となっている場合は事実婚の証明効果は高いのですが、今回のケースは別世帯です。つまり同住所でそれぞれが世帯主というパターンですので、生計を同一にして一般のご夫婦同様の暮らしをしていた客観的証拠を積み重ね、地道に証明を行うしかありません。



実際の請求の流れ

ご主人亡き後依頼者様は母子家庭です。相続権は内縁の妻にはありませんし、すぐにお仕事を探し始めましたが決してゆとりがある訳ではありません。仮に年金が支給決定したとしましても、それは数ヶ月先です。ですから、まず健康保険協会に対して「埋葬料」の請求を行います。

「埋葬料」とは、健康保険被保険者が業務外の事由により亡くなった場合、「亡くなった被保険者により生計を維持されていた埋葬を行う方」に5万円を支給するという制度です。これは、内縁関係でも支給されますので生活の助けの為に申請いたします。例え5万円と言えども残されたご家族にとっては大きな助けです。こちらは、2週間程ですぐに支給されました。

問題は内縁関係と生計同一の証明です。一般的にこれらを証明するものとは例示すると以下の様なものです。


<内縁関係の証明する為のもの>

●健康保険被保険者証の写し(被扶養者になっている場合等)
●給与簿又は賃金台帳等(扶養手当等の記載)
●葬儀を主催した会葬礼状
●連名の郵便物や公共料金の領収書、生命保険証書や借家の契約書等
など


<生計同一・維持を証明する為のもの>

●健康保険被保険者証の写し(被扶養者になっている場合等)
●給与簿又は賃金台帳等(扶養手当等の記載)
●源泉徴収票・課税台帳の写し
●現金封筒や預金通帳
●住民票、第三者の証明(家主や町内会長・民生委員等)
など


本事例の依頼者様のお手元にはここで例示した証拠がほとんどありませんでした。生活費は毎月手渡しで頂いていたので振込の記録がダイレクトに残っている訳ではありませんでしたし、葬儀においてもご主人のご親族のお手伝いをしておられましたが喪主を務めてはおりません。引っ越してきてまだ半年という事で町内や民生委員とのお付き合いもそれほど濃くはありませんでした。

しかし、依頼者様とご主人の間では、多感なお年頃の娘様に影響を与える事を避けるため(名字が変わってしまう等)、娘様が無事成長し独立したら籍を入れようという明確な将来のビジョンがあったのです。何とかして事実婚の関係を証明しなければなりません。

強力な証明材料が無い為、個々の証明力は弱くとも小さな証拠を多数積み上げる方針で何度も打ち合わせを行いました。そして小さな客観的証拠を多数準備していきます(実はその過程で1つの強力な証明材料を発見する事になります)。多数の証明材料と、第三者証明(これはお2人の関係を良く知る、ご主人の事業主様がご協力下さいました)。を揃えて申請を行います。



審査の結果

審査の結果は年間約100万円(加算額含む)の遺族年金の支給決定であり、申請からほぼ1ヶ月のスピード決着でした(一般的には2~3ヶ月かかる事が多いです)。

これには前述したある証明材料(通知書類です)の効果が関わっていると思っております。実は依頼者様はご主人と同居を始める頃、役所である手続きを行っていたのですが、その際に担当職員さんに内縁関係に入る意思を伝えていたのです。

そしてその書類の一部にはその意思が記載されていた訳です。つまり、同居を始める時にご本人が事実婚の意思を持っていた事が、公的機関発行の通知に記載されていたのです。非常に強力な追い風と言えます。

まず、ある手続きを行っていた事、そしてその際に内縁関係に入る事を正直にお話されていた事、そしてその通知を捨てずに保管していた事、これらが全て積み重なってこのような強力な証明材料を生みました。その通知に加え、それを補強する小さな証明を多数添付し満を持して申請を行った訳です。ご自身の以前の行動が計らずもこのような形でご自身を助けたのです。


今回の申請で良い結果を得る事ができ、本当に良かったと心から思っています。準備を進めながら、「これはご主人が後押しをして下さっている」と思う事が何度もあったからです。ご主人は草葉の陰で、相続の権利が無い内縁の奥様の人生の為に、遺族年金だけは何とか残してあげたいと思ってお手伝いして下さったような気がしてなりません。

依頼者様から支給決定のお知らせを聞いたとき、どこかでご主人が喜んで下さっている様な気がし、肩の荷が下りると共に心から報われた想いでした。











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